縦隔腫瘍
縦隔腫瘍(じゅうかくしゅよう)とは?
縦隔(じゅうかく)とは、胸の中央にあるスペースで、左右の肺、胸の真ん中にある骨(胸骨)、背骨に囲まれた部分です。この中には、心臓・大血管・気管・食道・胸腺・リンパ管・神経など、体にとって重要な臓器があります。縦隔は場所によって、上縦隔・前縦隔・中縦隔・後縦隔の4つに分けられます。縦隔腫瘍とは、この縦隔の中にできる「できもの(腫瘍)」の総称です。
縦隔腫瘍の症状
縦隔腫瘍の症状は人によってさまざまです。症状がなく、健康診断の胸部レントゲンで偶然見つかることもあります。腫瘍が大きくなると、息苦しさや胸の圧迫感、顔や両腕のむくみなどが出ることがあります。また、胸腺腫の場合には、重症筋無力症という病気を合併し、全身の筋力低下、疲れやすい、まぶたが下がる、物が二重に見える、飲み込みにくいといった症状が出ることがあります。
縦隔腫瘍の種類
縦隔腫瘍は、できる場所によって発生しやすい腫瘍の種類が異なります。
- 上縦隔:(縦隔内)甲状腺腫 など
- 前縦隔:胸腺腫、胸腺癌、胚細胞性腫瘍、胸腺嚢胞 など
- 中縦隔:悪性リンパ腫、気管支原性嚢胞、心膜嚢胞 など
- 後縦隔:神経原性腫瘍、食道嚢胞 など
縦隔腫瘍の検査
縦隔腫瘍が疑われた場合、次のような検査を行います。
- 血液検査
腫瘍の種類によっては、血液検査で異常が見つかることがあります。
※腫瘍があっても、血液検査に異常が出ない場合もあります。
- 画像検査
腫瘍の位置・大きさ・性質を調べるために、とても重要な検査です。
胸部レントゲン、CT検査、必要に応じてMRI、PET検査などを行います。
- 生検(組織検査)
腫瘍の一部を採取し、顕微鏡で調べて診断します。
縦隔腫瘍は種類によって治療法が異なるため、治療前に正確な診断が必要な場合に行います。
方法としては、CTガイド下生検、胸腔鏡下生検などがあります。患者さんの状態に応じて、最適な検査を選択します。
縦隔腫瘍の治療
治療方法は、腫瘍の種類、大きさ、良性か悪性か、患者さんの体調や年齢などを総合的に考えて決定します。主な治療法は手術・薬物療法(抗がん剤など)・放射線治療です。具体的には各疾患で異なり、これらの治療法を単独または複数を組み合わせて行います。多くの縦隔腫瘍では、診断と治療を兼ねて手術を行います。切除後の病理検査の結果によっては、追加で薬物療法や放射線治療を行うこともあります。
縦隔腫瘍の手術
手術方法には、胸腔鏡手術(小さな傷で行う手術)、と開胸手術(胸の中央を切開する胸骨正中切開、胸の横を切開する側方切開など)があります。
腫瘍が小さく、周囲の臓器に広がっていない場合は、体への負担が少ない胸腔鏡手術を行います。腫瘍が大きい場合や、心臓・大血管などに広がっている場合は、より安全に行うために開胸手術や、場合によっては人工心肺を使用することもあります。
なお、当院では、胸腔鏡手術の中でも最先端の手術支援ロボットを用いた低侵襲手術を積極的に行っており、傷が小さい、術後の痛みが少ない、回復が早いといったメリットがあります。
転移性肺腫瘍
転移性肺腫瘍(てんいせいはいしゅよう)とは?
転移性肺腫瘍とは、体のほかの場所にできたがんが肺に移ってできた腫瘍のことです。
肺そのものから発生する「肺がん」とは異なり、体の別の場所にもともとのがん(原発がん)があります。そのがん細胞が血液やリンパの流れに乗って肺に運ばれ、そこで増えることで転移性肺腫瘍ができます。
どのような”がん”が肺に転移しやすいですか?
肺は血液の流れが豊富なため、さまざまながんが転移しやすい臓器です。代表的なものには、大腸がん、乳がん、腎臓がん、子宮がん、頭頸部がん、骨や軟部組織のがんなどがあります。
転移性肺腫瘍の症状
症状がほとんどないことも多く、定期検査や画像検査で偶然見つかることがあります。
症状が出る場合には、長引く咳、息切れ、息苦しさ、胸の痛みや違和感、血痰、発熱や体重減少などさまざまな症状が起こりえます。
症状の有無や強さは、腫瘍の大きさや数、肺のどの部分にあるかによって異なります。
転移性肺腫瘍の検査
転移性肺腫瘍が疑われた場合、次のような検査を行います。これらの検査を組み合わせて、総合的に診断します。
- 画像検査
腫瘍の大きさ、数、位置、体の他の部分に病変がないかを詳しく調べます。
胸部レントゲン検査、CT検査、PET検査(必要に応じて)などを行います。
- 生検(組織検査)
肺がんとの区別や、原発がんとの関係を調べます。
診断と治療を兼ねて、手術を行うこともあります。
転移性肺腫瘍の治療
治療は、手術、薬物療法(抗がん剤など)、放射線治療などがあります。
原発となったがんの種類、肺転移の数や大きさ、ほかの臓器への転移の有無、患者さんの体力や全身状態などを考慮して決定します。
転移性肺腫瘍の手術
手術が可能な体力や肺機能があり、原発巣・転移巣ともに手術によってコントロール可能で、また手術以外に有効な治療方法がない場合に行います。現在は、ほとんどの施設で低侵襲な胸腔鏡手術が行われており、当院でも積極的に胸腔鏡手術を行っております。