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RFIDタグが変える肺がん手術 ー小型肺がんに挑む精密縮小手術ー

肺がんは日本で最も死亡者数が多いがんですが、早期発見・早期手術によって根治が期待できるケースもたくさんあります。
しかし、これまでの医療現場には大きな課題がありました。それは、1cm未満という極めて小さな異常部位は、手術中に正確な位置を特定することが非常に困難だった点です。肺は柔らかく、呼吸によって常に動き変形するため、がんの疑いが強くても確実に切り取ることが難しく、やむを得ず「大きくなるまで経過観察」をするか、あるいは「必要以上に広い範囲を切除する」という選択を迫られることがありました。

こうした課題を解決するのが、RFID技術を活用した「精密縮小手術」です。この手法では、手術前に直径1.8mm、長さ3mmという超小型の無線発信機(RFIDタグ)を病変のすぐ近くに埋め込みます。手術中、医師ははこのタグが発する電波を頼りに、リアルタイムで正確な位置を把握しながら、必要最小限の範囲で肺を切除することができます。

この技術の導入は、患者さんに多大なメリットをもたらします。切除範囲を最小限に抑えることで身体的負担が軽減されるだけでなく、ごく早期に手術を受けられるため、経過観察中の不安や将来への心配を減らすことができます。さらに、極めて早期に切除できれば、術後の抗がん剤治療が不要になる場合もあります。

こうした精密縮小手術という選択肢があることを知っておいてください。

2026年02月09日
2024年9月4日(水)FBS めんたいワイドで当院が取り上げられました

先日行った低軌道衛星を使った通信による手術支援ロボット「サロア」での遠隔手術の当日に密着していただきました。福岡からおよそ1000キロ離れた福島県の施設にある手術支援ロボット「サロア」を、当院に置かれた機械を操作して動かして、ブタの左肺の上半分を切除するという手術です。当院では上田医師が、福島では佐藤医師が手術に入りました。福岡で操作された情報は、専用のアンテナから高度550キロという低い軌道を飛ぶ人工衛星に伝えられます。さらに、複数の衛星を経由して福島のロボットに送られるという仕組みになっています。これまで、遠隔手術は高度3万キロ以上の高軌道衛星や海底ケーブルを使った実験が行われていましたが、通信環境や高額な費用が課題でした。今回、かなり難しいレベルの手術を安価で実現させる試みは世界で初めてです。

通信しながら行う遠隔手術は医師の連携が重要です。そこで新たな課題となったのが、悪天候による通信のラグや映像の乱れでした。最終的には、少しのタイムラグで手術には支障のない程度で、無事に成功させることができましたが、今後改善されるべき問題だということが明確になりました。

今後遠隔手術が実用化されていけば、1日に2例の手術が精一杯だったのが、数例の手術が可能となったり、外科医の生産性も上がる可能性もあります。なにより、どこにいても質の高い医療を受けられるようになります。遠隔手術は、医師にとっても希望の一歩となる実験となりました。

2024年09月05日
2024年8月5日(月)RKB タダイマで当院が取り上げられました

当院では、高度500キロを周回する低軌道衛星を使った通信による遠隔手術を世界で初めて行いました。

福岡からおよそ1000キロ離れた福島県の施設にある手術支援ロボット「サロア」を遠隔操作し、ブタの左肺の上半分を切除するという手術でした。これまで、遠隔手術は高度3万キロ以上の高軌道衛星や海底ケーブルを使った実験が行われていましたが、通信環境や費用の問題で普及には至っていませんでした。今回、かなり難しいレベルの手術が安価で実現できたというのは大きな一歩となりました。まだ本格的な実用はこれからとなりますが、離島や山などでも質の高い医療を提供できる可能性を感じています。

2024年08月06日
2024年2月26日(月)KBC アサデスで当院が取り上げられました

福岡でもロボットによる手術件数は増え続けています。当科でも、ダヴィンチやサロアという手術支援ロボットを使ったがん治療に力を入れています。今回も、国産の手術用ロボット「サロア」の画期的な機能に注目して取材をしていただきました。サロアは、世界で唯一の触った感覚が分かる手術用ロボットとなっています。手術台から少し離れた場所からモニターを見ながらロボットを操作して手術を行うのですが、コントローラーの指先から触った感覚が分かり、手と同じ動きでロボットが動きます。この技術で、患者さんにとってやさしく痛みも少ないにも関わらず精密な肺がん手術が可能となりました。私たち医師にとっても、これまで以上により正確な手術を行うことができるようになり、今後のがん治療を進化させていく可能性を感じています。

2024年02月27日
2023年7月20日(木)TVQ You刊ふくおかで当院が取り上げられました

手術支援ロボット「サロア」は、「触った感覚(力覚)」を医師の指先に伝えるという世界初の機能が搭載されています。ものをつかんだ感覚がまるで手で触ったかのようにコントローラーで分かるようになっているのです。取材時に、試しにイクラを左でつまんで右に移し替えてみるという実験を行いました。力覚なしのモードで試すとつぶれてしまいますが、力覚ありのモードだと1回で成功しました。このように、手術中繊細な力で臓器を扱えるというのがサロアの最大の特徴です。

サロアは、東京工業大学発のベンチャー企業「リバーフィールド」が開発した国産のロボットです。これまでの手術ロボットはつかんだ時のオンかオフしか分かりませんでしたが、このサロアの力覚提示技術によって、より安心感を持って手術を成功できるようになると期待されています。

2023年07月21日
2023年7月19日(水)FBS めんたいワイドで当院が取り上げられました

当院に導入された最先端手術支援ロボット「サロア」での世界初の手術に密着していただきました。

サロアは国内で開発された手術支援ロボットで、人間の手の代わりに3本のアームを使って患者さんの体内に入れたカメラを見ながら手術を行うことができます。このロボット手術は、手術台から少し離れた場所の医師が、体内に入れたカメラを見ながらアームを操作して行います。ロボットの助けを得ることで、より正確で細かい動きが可能で、がんを切除したり患部を縫合したりすることができるのです。

福大病院は、年間約400例という九州で有数のロボット手術の実績を誇ります。20年近くロボット手術を行ってきた、佐藤医師が開発に携わった「サロア」には、世界初の機能が搭載されています。それは、「触った感覚(力覚)」を医師の指先に伝える技術です。これまでの手術支援ロボットは、カメラからの『視覚』で得られる情報だけで手術を行っていたため、つかむ力の感覚が分かりづらく、臓器などを傷つけるリスクがありました。しかし、つかんだ力を空気圧で計測し触った感覚が分かることで、自分の手で直接手術しているような感覚を得られる「サロア」は、ロボット手術の安全性をさらに高められると期待されています。当科の専門分野でもある肺がん手術においても、柔らかくて壊れやすい臓器である肺をより繊細に扱えるようになりました。

サロアでの手術は患者さんにとっても低侵襲、低負担となっており、大きな希望となります。先日行われたサロアでの肺がん手術の患者さんは87歳でしたが、翌日にはご自分で歩けるまで回復されていました。サロアによって実現された身体にやさしい手術が、今後より身近となり、日本から世界へ医療界の未来を切り開いていくと信じています。

2023年07月20日
第65回 学んで治そう!早期小型肺癌の診断と治療《福大病院 健康セミナー》【福岡大学病院 公式チャンネル】

現在、日本においてがんは罹患数・死亡数ともに増加傾向にあり、中でも肺がんは死亡数でトップとなっています。肺がん治療において最も重要なのは、がんの進行度(病期)に応じた適切な対応です。特に、がんが2cm以下でリンパ節転移がない「早期小型肺がん」のうちに発見できれば、手術のみでの完治が期待でき、社会復帰も早まります。

診断の鍵となるのは定期的な検診です。一般的なレントゲン検診では2cm以上の大きさがないと発見が難しい場合がありますが、CT検査を用いることで、数ミリ単位の極めて微小な「ステージ0」の早期がんを発見することが可能です。こうした超早期がんは、手術後の抗がん剤治療が不要で、5年生存率も97%と非常に良好です。

福岡大学病院では、こうした早期小型肺がんに対し、患者への負担を最小限に抑える「低侵襲な精密縮小手術」に取り組んでいます。

精密縮小手術: 近距離無線通信技術(NFC)を応用し、がんのそばに小型無線発信機を留置。肺の外側からは見えない微小ながんの位置を正確に特定し、必要な部分だけを最小限に切除します。

ロボット・内視鏡手術: ダビンチなどの手術支援ロボットや、わずか4cmほどの小さな傷口から行う内視鏡手術により、出血や痛みを抑え、早期の退院を可能にしています。

結論として、肺がんは早期発見・早期治療が何より重要です。同院では「肺がんホットライン」を設置し、迅速な診断から治療、社会復帰までをトータルで支援する体制を整えています。

2021年07月21日