肺がんについて

― 肺がん治療の現在と、福岡大学病院 呼吸器外科の強み ―
肺がんと診断されたり、検診で「影がある」と指摘されたりすると、どなたも強い不安を抱かれることと思います。しかし、近年の肺がん診療は目覚ましい進歩を遂げており、早期発見はもちろん、進行したがんであっても適切な治療により治癒や長期延命が目指せる時代になっています。
福岡大学病院 呼吸器外科では、「低侵襲手術(ロボット支援・胸腔鏡手術・RFID手術)」と「待たせない迅速な診療体制」を軸に、常に安全で質の高い治療を提供しています。

肺がんとはどんな病気?

肺がんは、気管支や肺胞の細胞が何らかの原因でがん化し、無秩序に増殖していく病気です。
  • 日本で最も死亡数が多いがん:がんによる死亡全体の約5人に1人を占めており、年間約12万人以上の方が新たに診断されています。
  • 女性も増加傾向:60歳以上の高齢者に多い病気ですが、近年は非喫煙者や女性の肺がん罹患も増加しています。
  • 早期は無症状が多い:初期段階では自覚症状がほとんどありません。咳、血痰、息切れ、胸痛などの症状が出て受診したときには進行していることも少なくないため、検診やCTによる早期発見が極めて重要です。

肺がんの種類(組織型)

肺がんは顕微鏡で見えるがん細胞のかたち(組織型)によって大きく4種類に分類され、治療戦略が根本から異なります。
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組織型 主な特徴 喫煙との関連 主な治療方針
腺がん 日本人の肺がんで最も多く(約6割)、女性や非喫煙者にも好発 中等度〜低 早期は手術が第一選択。遺伝子変異に応じた分子標的薬も有効
扁平上皮がん 気管支の太い部分にできやすく、咳や血痰などの症状が出やすい 極めて高い 早期は手術。進行期は抗がん剤や免疫チェックポイント阻害薬
大細胞がん 増殖や転移のスピードが速い傾向がある 高い 切除可能な段階であれば手術、進行期は薬物療法
小細胞肺がん 進行・転移が非常に速いが、抗がん剤や放射線治療が効きやすい特徴がある 極めて高い ごく早期を除き、抗がん剤+放射線治療が基本

進行度(ステージ)と治療選択

肺がんの進行度は「がんの大きさ(T)」「リンパ節転移(N)」「他臓器への転移(M)」の3つの組み合わせ(TNM分類)によって、Stage 0 ~ Stage IVに分けられます。

ステージ別の標準治療方針

Stage 0 ~ II

「手術」が標準治療となります。病理結果に応じて術後に抗がん剤などの再発予防治療(術後補助療法)を追加します。

Stage III

「集学的治療」(手術、抗がん剤、放射線治療を組み合わせる)を行います。術前に抗がん剤などを行って腫瘍を小さくしてから手術を行う方法(拡大根治手術)も積極的に検討されます。

Stage IV

「全身薬物療法」(抗がん剤、遺伝子検査に基づいた薬剤(分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬)が基本となります。

肺を切除する範囲(術式の種類)

肺は右に3つ(上葉・中葉・下葉)、左に2つ(上葉・下葉)の「肺葉」に分かれています。切除する範囲は、「がんの根治性」と「術後の肺機能(呼吸する力)」を天秤にかけ、最も安全で再発の少ない術式を選択します。
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手術方法 喫煙との関連 主な治療方針
肺葉切除術
(標準治療)
がんが存在する肺葉をまるごと1つ切除 肺がん手術の最も標準的な方法で、十分な根治性が確立されています。
区域切除術 肺葉の中の解剖学的なブロック(区域)単位で切除 早期肺がんや肺機能が低下している患者さんに適応。根治性を保ちつつ呼吸機能をできるだけ残します。
部分切除術 がんとその周りの肺組織をごく小さく楔状に切除 ごく初期の小さい病変や、体力が著しく低下している場合に行います。

小型肺がんに対する先端技術:RFIDタグ

CTで見つかる初期の小さな肺がんは、触ったり見たりしても位置の特定が難しいことがあります。他院では「切除できない」と言われた難しい小型病変に対しても、当院はRFID技術を応用した超小型ICタグを導入し、切りすぎず・取り残さない高精度な安全縮小手術を実現しています。

手術のアプローチ方法(傷の大きさと方法)

福岡大学病院呼吸器外科では、低侵襲性(体への優しさ)と根治性(がんをきれいに取り切ること)の両立を最も重要視しています。
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アプローチ 傷の様子 メリット・特徴
ロボット支援下胸腔鏡手術
(RATS)
2~3cm前後の
小さな創が4か所
高精細3D画像と人の手以上に動く多関節鉗子により、微細な血管や神経を傷つけず精密な切除が可能。術後の回復が最も早い治療法の一つです。
単孔式胸腔鏡下手術
(VATS)
わずか1箇所の創
(3~4cm程度)
傷口が1つだけで済むため、術後の痛みや違和感を極限まで抑えることができます。
開胸手術 10~15cm以上の創 がんが主要な大血管や気管、心臓などに浸潤している高度進行肺がんに対して、安全確実に根治切除を行うために選択します。

福岡大学病院 呼吸器外科の手術実績と選ばれる理由

九州トップクラスの手術症例数

当科は肺癌診療に最も重点を置いており、2024年の肺癌手術症例数は九州地方の病院でトップとなりました。豊富な治療実績に裏打ちされた高度な技術力で、あらゆる難易度の病態に対応しています。

徹底した低侵襲(体にやさしい)手術

ほとんどの患者さんで胸の筋肉や肋骨を切らない「ロボット支援手術(RATS)」または「胸腔鏡手術(VATS)」を採用しています。術後の痛みが非常に少なく回復が早いため、90歳を超えるご高齢の方でも手術翌日から歩行を開始し、早期退院・早期社会復帰が可能です。他院で「手術が難しい」「開胸しか無理」と言われた進行がんの方に対しても、高度な技術で低侵襲手術を安全に行っています。

「待たせない」スピード診療(初診から1〜2週間で手術へ)

「肺がんかもしれない」と診断されてから手術まで何カ月も待たされる不安を解消するため、当科では検査から手術までの待機期間を可能な限り短縮しています。お急ぎの場合は初診から1〜2週間での手術施行が可能です。

呼吸器チーム医療による万全のバックアップ

呼吸器内科、放射線科、病理診断科と毎週カンファレンスを行い、手術だけでなく術前後の抗がん剤治療・放射線治療まで、一人ひとりに最も有効な治療戦略を決定しています。

お困りの患者さん・医療関係者の皆様へ

  • 検診の胸部レントゲンやCTで「影・結節」を指摘された
  • 他の病院で手術が難しい・進行していると言われたが、治療方法がないか相談したい
  • できるだけ早く診断・手術を受けて元の生活へ戻りたい
どのようなお悩みでも遠慮なくご相談ください。早期発見と確かな技術によって、病気を克服できるよう全力でサポートいたします。
「福大肺がんホットライン」では専門の医師が直接状況を伺い、迅速に受診の手配を行います。新患窓口で長時間お待ちいただくことなく、速やかに専門診療へご案内いたします。まずはお気軽にご相談ください。

受診の流れ

まずはお近くのクリニック・検診へ
「胸部CT」などの検査を受け、気になる影や異常を早期に見つけましょう。
かかりつけ医にご相談
検査結果で精密検査が必要と言われたら、かかりつけの先生に「福岡大学病院の呼吸器外科」への紹介状を書いてもらってください。
ご予約・ご来院
地域の先生を通して当院をご予約いただくか、ご不安な場合は「福岡大学病院肺がんほっとライン(tel:080-8385-1195)」へお気軽にお電話ください。
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